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2017年度 群馬県公立高校入試【社会】解説

資料問題が中心。トリッキーな設問が散見で面白い。
社会科が好きな方はぜひ解いてほしい。
また、短文記述が多いので要領よくまとめる訓練をしよう。
問題はコチラから→PDFファイル

大問1(小問集合)

グンマーにゆかりのある問題。
(1)例:県外へ転出する者が多い
*資料Ⅰに着目。素直に考える。

(2)ハザードマップ

(3)ウ
*どれも江戸時代の出来事なので、知識がないと悩む。
浅間山の噴火は1783年。
地震や冷害による飢饉(天明の飢饉)といった天災が追い打ちとなり、田沼は失脚する。

(4)旧石器
*発見者は相沢忠洋
旧石器時代にも日本列島に人々が生活していたことが明らかとなる。

(5)例:仕事をしている人が子どもを預られるように保育施設を拡充する。
*「自分の仕事に差し支えるから」を解消する政策を打ち出す。

大問2(日本地理)

(1)ウ
*吉野杉からもわかるように、降水量の多い紀伊山地では昔から林業が盛んで、Y側は山が多く標高が高い。また、京都市には京都盆地、奈良市には奈良盆地があり、イのような山なりにはならない。琵琶湖から瀬田川(淀川)が流れ出ることからも谷があると判断できる。
X側は丹波高地があり、標高が高い。

(2)①b ②a
*①天下の台所、大阪 ②西神ニュータウン。これがわからなくても『外国との貿易の玄関口として発展してきた』ことから、大阪が消去されたことで神戸港と判断できる。かつて神戸港は大輪田泊おおわだのとまり)とよばれ、日宋貿易の拠点として栄え、以降も貿易港として発展した。

(3)①例:鮮度が落ちる前に消費地へ届けることができる。 ②品質の保証
*①近郊農業の利点。”輸送コストが抑えられる”でも間違いにはならないが、問題文では『みずななどの野菜栽培を行う利点』となっているので、”生鮮食品の鮮度保持”をもってきた方がベター。
②『産地や栽培方法などの一定の基準を満たしたもの』→消費者からの信頼を得るための「品質」の問題であるとわかる。

(4)ア
例:良好な景観をつくるための条例が制定され、アの方が看板の数が少ないから。
*シンプルで面白い。写真をみてどちらが2015年の京都市内の町並みかを当てる。
2007と2015なのでそれほど時間は離れていない。京都市の政策を念頭において考える。
大きな変化は看板。イは屋外の看板が多いが、アでは極端に数を減らしている。
賑やかそうなイを選びたくなるが、正解はア。
世界遺産にも登録されている古都京都では、情緒ある景観を保全するために景観条例をもって、
屋外の広告物に規制をかけた。

大問3(世界地理)

(1)エ
*雨温図。わかりやすいところからお好みで。
ア:降水量が多く、気温も降水量も山なりに描く。日本の太平洋側の気候。東京
イ:年中高温。降水量も多い。熱帯気候。シンガポール
ウ:降水量が少ない。夏は暑く、冬との温暖さが激しい。乾燥帯。サウジの首都リヤド
エ:東京と傾向は似ているが、降水量が少なく、冬は氷点下を下回る。
大陸性ゆえ、寒暖差がある。北京

(2)イ、例:一人っ子政策の実施により、人口の増加率が抑制されたから。
*人口と『中国の取り組み』から一人っ子政策を想起できれば容易。
経済成長による労働力の確保から、2016年に一人っ子政策は廃止された

(3)ウ
*食文化に関する設問。
ア:豚肉やアルコールの禁忌→イスラム教のハラール。Aサウジアラビア
イ:稲作からCベトナム。モンスーンの影響を受け、夏は降水量多し。
『米を麺に加工したもの』とはベトナムの伝統料理フォー。

↑ライスヌードル・フォー。栗原はるみさん作。

ウ:『とうがらしを用いた保存食』はキムチやカクテキなど。D韓国。
大陸性ゆえ冬は寒いのでオンドルと呼ばれる床暖房が活躍。
エ:小麦の生産量1位中国、2位インド、3位ロシア、4位アメリカ。
よって、Bインド。『小麦粉で作られた生地を焼いたもの』はナン。

(4)①経済特区 ②イ
*①中国は社会主義の国だが、鄧小平の改革開放路線に基づいて設置された経済特区にて外国資本を取り入れ、著しい経済発展を遂げる。
②イ:魚介類からタイ。タイからエビやイカなどを輸入している
ウ:日本は中東からシーレーンを通じて、原油を大量に輸入している。サウジ
エ:衣類はMADE IN CHINA。日本の輸入総額で1位は中国
ア:残りが韓国。韓国から半導体や石油製品、鉄鋼を輸入しているが、貿易収支は黒字である。

大問4(前近代史)

(1)①平城京 ②国風文化
*①奈良の大仏→平城京
②奈良時代では大陸からの影響を受け、国際色豊かな文化(天平文化)が栄えたが、
遣唐使船の停止を受けて日本独自の文化(国風文化)が発展していく。資料Ⅱは漢字をもとに作られたかな文字

(2)①元寇 ②例:相続によって領地が細分化され、経済力が衰えたから。
*①鎌倉期、8代執権北条時宗文永弘安の役
②資料Ⅳをそのまま書く。簡潔に書けば良い。いらんこと書いて減点されないように。

(3)藩の財政の立て直し
*専売制とは、ある品物の生産・流通・販売を規制し、統治者の管理化に置くこと。藩の経済を立て直すために行った。ちなみに、資料Ⅵは静岡にある韮山(にらやま)反射炉。明治日本の産業革命遺産の構成遺産の一つとして、軍艦島(端島;はしま)や八幡製鉄所とともに世界遺産入りを果たす。

(4)イ→ア→ウ
*イ:鑑真、奈良→ア:足利義満、室町→ウ:鎖国中、江戸

大問5(近現代史)

(1)エ
*学問のすすめ中江兆民はルソーの社会契約論を日本語訳した『民約訳解』を著す。
東洋のルソーと呼ばれているそうだ・・。

(2)例:不平等条約の解消を目的とする予備交渉のため。
*鎖国で引きこもって世間知らずであった日本は、近代国家の一員になるべく世界の有り様を視察する。
本問は『外交上の課題』なので、領事裁判権と関税自主権の喪失といった不平等条約の是正が答えとなる。

(3)例:西洋の技法
*高村光雲の老猿。19世紀のヨーロッパで流行った写実主義を日本の彫刻に取り入れる。写真を見ただけでは難しい。『伝統的な彫刻の技法に、Aを取り入れた』なので、伝統的でない技法→海外の技法と推測できなくもない。

(4)例:海軍の軍縮
*『海軍』と書かないと×されるかもしれない。わからなかったら、資料から素直に「軍事費の抑制」と書いておけば部分点はもらえるはず。本問は第一次世界大戦後の国際協調を目指した、ワシントン会議(1921-22)における海軍軍縮条約。

(5)例:冷戦の終結
*新聞の見出しを答える。1989年、マルタ会談で冷戦は終結する。米ブッシュ(父)-ソ連ゴルバチョフ。ベルリンの壁は崩壊し、1991年ソ連が崩壊する(ゴルバチョフはノーベル平和賞受賞)。

大問6(経済)

(1)利益
*公式解答では『利潤』となっているが、利益でもいいと思う。

@トレーサビリティ@
食品の産地や製造過程などの情報を記録・保存し、消費者がその情報をアクセスできるシステムをトレーサビリティ(追跡可能性)という。BSE(牛海綿状脳症)問題で牛肉にトレーサビリティの導入が初めて義務化され、その後の度重なる食品偽造問題から幅広い食品に適用されつつある。

(2)例:商品に関する情報を公開する責任。
*商品に関する情報は売主である企業側が占有している。安全性の保証のためには、商品の原産地や製造方法などの情報を開示すべき責任を企業は負う。ケネディ大統領は消費者の4つの権利の1つに『知らされる権利』を提示している。

(3)イ
*Xを横にみていくと、横軸の取引量から需要量<供給量となる。B供給が上回り、商品がC売れ残る。すると、均衡価格はD下落する。

(4)E:資金 F:例)責任を負わなくてすむ
*E:「お金」という発想はつきやすいが、それで点がもらえるかは微妙なところ。資金とは事業の元手となるお金。株式や社債の発行は資金調達の一種。
F:株主の有限責任。株主は出資した額を超えた部分について責任を負わない。例えば、100万円を投資した株主は最大で100万円が失われるリスクを背負うだけであって、100万円を超える部分の会社の負債(借金)には責任を負わない。これに対し、無限責任は出資金を超えた部分についても個人の財産をもって責任を負わなければなさない。

(5)例:後継者不足のなか、農作業を機械で行うことで効率の良い生産ができる。
*書くべき内容は想像しやすいが、あれこれ書こうとすると書きにくくなる。日本の農業が抱える課題に着目をする。
就農人口が減少する日本の農業は跡継ぎ不足が課題となっている。資料Ⅲでは、少ない労働力で効率の良い生産が確保できるように無人トラクターによる機械化を試みている。
公式解答によると、「少ない人手でも効率良く生産を行うことができる」で良いとのこと。記述問題は過去問を通じてどの程度まで内容を要求されるのか研究しておこう。

大問7(政治)

(1)自由
*リード文は表現の自由や職業選択の自由。国家からの自由ともいわれ、国民の思想や行動に対する国家の不干渉を保障する。これにより、自由な表現や経済活動ができるようになるが、のちに貧富の差が拡大し、自由の名の下に不自由な者が多々現れる。この矛盾を解消するために社会権の重要性が高まる。

(2)例:人の支配では、法は権力者が国民を支配する手段としての役割であるのに対し、法の支配では、法が権力者を拘束することで国民の人権を保障する役割がある。
*要領よく書かないと簡潔に書けない。問われているのは「法の役割」。資料Ⅰをみて人の支配と比較しながら、法の支配における法の役割を述べる。
人の支配』の対義語が『法の支配』。人の支配は、権力者や支配者による専断的(自分勝手)な統治。法の支配は権力者や支配者の権力を法をもって拘束すること。歴史上、人権侵害は国家権力の濫用によるものが多かったので、侵害のもととなる国家権力を法で縛ることによって、国民の人権を保障するという考えが英米法を中心に発祥した。ここでいう「法」は法律ではなく、最高法規である憲法をさす。
解答文では資料Ⅰにならい、「国王」や「政府」を使うと書きやすい。人の支配では国王が法を通じて国民を支配する。つまり、法の役割は国王が国民を支配・統治する手段であった。一方で、法の支配では政府の上に法がくる。これは法が政府の権力を拘束することで権力の暴走に歯止めをかけ、もって国民の基本的人権を保障する役割がある。
法の支配と似た言葉に法治主義があるが、法治主義の「法」は主に法律を指す。法律に従って政治を行うことだが、法律は立法府である議会で作られるので、議会が法律という形で定めれば法律の内容いかんは問わないことを意味する。背景には議会中心主義の思想があり、ドイツやフランスを中心とする大陸法で発達したが、権力の1つである立法権(議会の権能)を憲法で縛るという発想が乏しく、国民から公選された議員で議会は構成されるとはいえ、議会が立法権を濫用すれば国民の人権が侵害されるおそれがある。対して、法の支配では議会にも法の拘束力が及び、法律の内容も「人権の保障」を核とする。

(3)エ
*『法の精神』の著者モンテスキュー。

(4)イ
*資料Ⅱ参照。内閣提出法案の方が議員提出法案よりも圧倒的に成功率が高い。それは行政による情報量と専門性。例えば、国民の関心が高い年金に関する法案においても、年金制度に関する具体的な情報(地域別の保険料未納率や、年金が誰にどれほど支給されているかといった詳細で確かなデータ)は厚生労働省が掌握しており、年金の各種手続きや背景事情も国会議員より厚生省で年金を司る官僚の方がよほど詳しかったりする。情報量や専門性は法律案作成の基礎となる。
また、内閣提出法案は本会議に提出する前に必ず内閣法制局という法案作成のプロによる綿密な審査をパスしなければならないので、法案の体裁にかかる正確性や内容の信頼性も担保されており、本会議で成立を得やすい要因となっている。

(5)ウ
*いわゆる規制緩和。薬物の販売規制がかけられた理由は、薬剤師が常在する薬局のみで医薬品の販売を許すことで、国民の健康の安全を守るため。本来は経済活動の自由により、医薬品をどのような方法で売るかは自由であるところ、「国民の健康を守る」という公共の福祉の観点から規制がかけられていた。ルールの緩和でコンビニやインターネットでの販売も許されるようになったのは、安全性が保障された医薬品に限り、本来の自由である経済活動の自由を保障することで自由競争を促すためである。
本来自由であるものを公共の福祉で制約し、規制緩和で自由に戻ったという流れ。
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