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2018年度 埼玉県公立高校入試【理科】解説

平均51.7点

問題はコチラ→PDFファイル

大問1(小問集合)

(1)ア 57.4%
*地層の年代を推定する示準化石

↑フズリナ。冷凍ギョーザみたい。

(2)公式解答参照 53.6% 一部正答―12.5%
*天気図の作成。
風向は風上、風が吹いてくる方角(寒い北風は北から暖かい南風は南から)。
南東風は南東から吹く風。天気図も南東を指す。
風力はFの横棒を3つ。曇りは◎。
今年度の千葉では霧の天気図が出た。

(3)イ 69.5%
*ルーペの使い方。意外と落とし穴か。
ルーペと目はできるだけ近づける
目からルーペを遠ざけてしまうと見られる範囲が狭まる(試しに虫眼鏡でやってみよう
焦点を合わせるときは、ルーペではなく観察対象を動かす
ルーペを動かしてルーペと目の距離を変えてしまうと、ルーペで見られる範囲も変わってしまう。

(4)イ・ウ・エ 58.2% 一部正答―5.9%
*ア;鳥類 イ;両生類 ウ;魚類 エ;爬虫類 オ;哺乳類
哺乳類は胎生母親の胎内で育ち、出産する)。ほかは卵生
魚類はエラ呼吸。爬虫類、鳥類、哺乳類は肺呼吸
両生類は水中に生息する幼生期はエラ呼吸、成体になると肺呼吸をするが、
肺が十分に発達していないので皮膚呼吸で補っている(皮ふが湿っている理由)。
変温動物は両生類・爬虫類・魚類、恒温動物は鳥類と哺乳類。

(5)2Mg+O2→2MgO 67.7% 一部正答―3.5%
*マグネシウムの燃焼。酸化マグネシウムになる。
係数も難しくはない。

(6)ア 60.9%
*酸の性質を打ち消すアルカリ。「アルカリ」はアラビア語で灰を意味するらしい。
高校化学では塩基という言葉が使われる。
苦味があり、ぬるぬるするものが多い。


↑アンモニアの噴水実験。授業でも先生が実演したはず。
逆さにした丸底フランスに気体のアンモニアを満たしておき、スポイトに少量の水を仕込んでおく。
スポイトをおして丸底フラスコに水を注入すると、水に溶けやすいアンモニアは溶けていき、
フラスコ内が真空になる(気圧が低下する)ことで下からフェノールタレイン溶液が上ってくる。
これがアルカリ性のアンモニアと反応して、赤い噴水が出来上がる。
気圧の低下を利用することから、形が丸くて丈夫な丸底フラスコを用いる。

イ:酸。アレーニウスの定義によれば、水に溶かすと
+水素イオン)が生じる物質→酸 OH水酸化物イオン)が生じる物質→アルカリ
水素イオンが結びついてH2水素)が発生する場合がある。
ウ:酸性
エ:酸性誤答で多かった

(7)25W 45.5%
*仕事率(W)=仕事(J)÷S(秒)=N×m÷S
5kg=5000g=50Nだから、50N×2m÷4秒=25W

(8)ウ 75.2%
*ホットなワードだが、虚をついた設問。
ア:ほとんどの元素は安定な状態で存在しているが、
なかには不安定な状態で粒子や電子波を放出して徐々に安定化を図る原子がある。
このときに放出される粒子や電子波を放射線という。
具体的にはアルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、X線など。
放射線は物質をすり抜ける。これを透過性といい、レントゲンは放射線の透過性を利用する。

イ:(誤答で多かったそうです
放射線を出す能力を放射能という。
放射性物質から放射線がでるので、放射性物質そのものを放射能と表すときがある。
農林水産省より、わかりやすい。

ウ:放射性物質には自然界にも存在する。
大地にはウラン238、トリウム232、カリウム40など天然の放射性物質が含まれているそうだ。
カリウム40は食品にも含有され、人体にも微量の放射性物質が存在している。

エ:シーベルトは放射線を受ける側の単位。健康被害への影響度を表す。
ベクレルは放射性物質がもつ放射能の強さ。
福島原発事故直後から、公園や住宅地から○○シーベルトが検出されました!
と、しきりに報道されましたね。

大問2(天体)

(1)衛星 77.4%
*大国の周辺にあって、それに支配されている国を衛星国という。
ソ連時代の東ヨーロッパなど。

(2)見えた月:X、範囲:D 27.0%! 一部正答―30.8%
*地球と月の位置関係が変わらなければ、同じ時刻に同じ月が見られるが、
地球の自転方向に約27.3日間かけて月が公転する ので、
1日あたり360÷27.3=約13度東側にズレる(地球の公転分を含めると地球からは約12度ズレてみえる)。
同じ時刻で観察すると、月は西から東にズレていく誤答ではZが多かった)。

@月の満ち欠けと月の公転周期のズレ@
月の公転周期は約27.3日だが、月の満ち欠けは約29.5日と両者にズレがある。

ベネッセより。
月Aは地球Aをはさんで太陽の反対側にあるので、地球からは満月に見える。
地球がBに移動した場合、月Aが地球の周りを1回転すると月Bとなるが、
太陽の反対側にある月Cの位置にこないと満月にならず、満ち足りない。
つぎの満月は、【地球1回分の公転+α】を月が公転しなくてはならない。
だから、月の満ち欠けの周期>月の公転周期となる。

範囲はお馴染みの方法。
太陽の反対側の月・地球に影を作り、地球側から見える月の半球を作成。
上でいえば、赤いところが地球から見える部分。正面からみえば三日月となる。
よって、地球の右上にあるDが正答。

(3)エ 53.2%
*これも前問と根は一緒。

先ほども地球の右上にあったので、三日月に近いヤツが正解。

(4)解答例:地球と金星の距離が変わるから。 37.1% 一部正答―4.4%
*金星の見かけの『大きさ』が変化する理由。
金星が大きく見えたり、小さく見えるのは距離が変わるから。
遠くにあったら小さい。近くにあったら大きい。
誤答では、金星の特徴が書かれているものが多かった

(5)1:エ 46.8% 2:イ 47.9%
*1:まず、45日後の金星の位置を特定する。
金星の公転周期は225日。
つまり、225日で太陽の周りを360度公転するので、
45日では、360×45/225=72度公転する。

↑ペイント書きにくかったので手書きしました。
金星は地球を追い越していない位置にある。

朝・夕と方角判定。
北極側からみた模式図なので、地球は反時計周り。
夕方の西の空に金星が見える。宵(よい)の明星ってヤツですね。

2:基本的に同じやり方。
図4の『ある日の地球』では、月は下弦の月(左半分が光る)にみえる。
この45日後を考える。月の満ち欠けの周期を30日とおくので、
30日後に下弦の月へもどる。残りの15日間は周期の半分。
つまり、下弦の月の対極である上限の月となる。

大問3(植物の生殖)

(1)花粉管 70.1%
*花粉から伸びた管。花粉管。そのままである(σ’д’)σ
教科書では、おしべの「やく」からでた花粉がめしべの柱頭について受粉すると、
胚珠にむかって花粉管が伸びていく、と書かれてあるはず。

(2)ア 52.7%
*生殖細胞の減数分裂
受精卵の染色体数Rはホウセンカの染色体数。
精細胞の染色体数Pと、卵細胞の染色体数Qは減数分裂で各々Rの半分。
受精により、精細胞の染色体数P+卵細胞の染色体Q=受精卵の染色体数R
(誤答ではイが多かった)

(3)DNA 85.3%
*デオキシリボ核酸。”核酸”なので酸性。
染色体のなかにある遺伝子の本質をDNAという。
DNAは二重らせん構造をもつ長い糸状で、そのままだともつれてしまうから、
ヒストンとよばれるタンパク質の一種に巻きつき、折りたたまれてる。
これら全体を染色体という(染色体=DNA+ヒストン、でいいと思う)。
遺伝子はDNAに記述された遺伝情報。
染色体とDNAは物質だが、遺伝子は情報である
ほかにゲノムという言葉もあるが、多義的に使われる模様。
『生物が生きていくために必要な遺伝情報』もしくは『細胞に含まれる全遺伝情報』と覚えておこう。
(誤答では『核』が多かった)

@ヒトゲノム計画@
人体を構成するプログラム、遺伝子の解析を試みたヒトゲノム計画。どの遺伝子がどのような役割を果たしているのか、地道に調べて特定していく。1990年代から研究が始められ、2003年に終了。そんな短期間で終われるものなのか不思議に思うが、IT技術の向上や民間企業の参画もあり、予定よりも早めに完了したそうだ。
発見されたヒトの遺伝子の数は22000個ほど(けっこう少ない!)。ヒトゲノムの解読により、遺伝病やガンの診断・治療、個々人の体質にあわせたオーダーメイド医療の実現が見込まれる。

一方で、ヒトゲノムのデータベース化から遺伝レベルで個人の特定が可能となると、プライバシー権との兼ね合いで遺伝情報の慎重な取り扱いが求められるようになる。また、”ある遺伝子を持つ者と持たざる者”の間で人の優劣が発生し、優生学的な遺伝差別が起こる危険がある。
さらに、ゲノム編集は生殖医療技術と融合して、「高身長で男前な知能指数が高い子供が欲しい」と、親が望む理想の赤ちゃんをつくるオーダーメイド・ベビーの促進につながる指摘もある。技術的に可能となった人の欲望は生命倫理と強く衝突する。

(4)1:エ 58.2% 2:イ 26.2%!
*1:純系の丸い種子→AA 純系のシワ種子→aa

    a  a
 A  Aa  Aa
 A  Aa  Aa

すべてに優性遺伝子Aがあるので、みんな丸。
Aa×Aaでかけ合わせる。

   A  a
 A  AA  Aa
 a  Aa  aa

AA:Aa:aa=1:2:1
丸:しわ=3:1となる。教科書にでてくる王道の割合。
(誤答はウが多い)

2:ひっかかる人が多発する予感。
問われているのは、
『孫世代がつくる生殖細胞のうち、丸い遺伝子をもつ生殖細胞の割合』。
有性生殖は両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぐ。
精子や卵子といった生殖細胞がつくられるとき、減数分裂で染色体が半分になる。
孫の世代はAA:Aa:aa=1:2:1
〔AA→AとA〕 〔Aa→Aとa〕 〔Aa→Aとa〕 〔aa→aとa〕
総計するとAが4つ、aが4つで、丸い種子をつくる遺伝子Aは50%。
(誤答ではエが非常に多かったそうです )

(5)解答例:無性生殖では親と子の遺伝子が等しくなるので、
味や品質などの形質も親子で同じになるから。 52.7% 一部正答―15.2% 無答―13.4%
*ジャガイモが無性生殖で生産される理由。
ジャガイモは被子植物なので種子で個体を増やすが、
受粉による有性生殖ではなく、栄養生殖とよばれる無性生殖で生産される。
じゃがいもは放置しておくと勝手に芽を出し、栄養生殖で繁殖しようとする。
(実際の生産では、種となるジャガイモをあらかじめ選別した種芋を使う)

無性生殖の良いところは、形質が親と子と同じになること。
形質は生物の形や性質。味がうまくて冷害・虫害にも強いジャガイモをつくれたら、
それを種芋にして増殖すれば同じ味、同じ品質のジャガイモをゴロゴロつくることができる。

ただし、遺伝子が同一ということは、環境が激変して不適合な種となると、
一気に絶滅の危機に瀕することになる。
その点、多様な形質に富む有性生殖では生き残れる個体がでてきやすい。
誤答では、形質という用語を性質という一般的な単語と混合して使っていたり、
病気に強いジャガイモとつくることができる、といったものが多かった

大問4(密度と状態変化)

(1)1:34.5cm3 79.6% (2)0.79g/cm3 38.0%
*1:メスシリンダーは手前にある中央付近の目盛りを読み取る。

端っこの水面が高く見えるのは、水の表面張力による。
2:密度=質量÷体積 (g/cm3の単位からも公式を導ける)
27.3g÷34.5cm3=0.791・・ →0.79g/cm3

(2)ウ 61.3%
*物質の状態変化。わかりやすい。
粒子(原子)の大きさは変わらない。
袋が膨らんだのは粒子の結合の仕方が変わったから。
物質は熱をもつと運動する。エタノールの粒子が熱を帯び、大きな運動エネルギーをもつことで、
粒子同士の結合が解き放たれて粒子が自由に動きまわり、液体から気体に気化する。
状態変化では質量は変わらない

質量が不変で体積が増加したので、密度は小さくなる(誤答はエが最多

(3)解答例:試験管に溜まった気体を冷やして、液体に戻すため。 34.5% 一部正答―4.2%
*液体を熱して気化し、気体を冷やしてふたたび液体にする。蒸留ですね。

(4)エタノール
解答例:1本目の試験管を使ったときは水の沸点より低いから。
また、液体にひたしたろ紙が燃えたから。 21.3%! 一部正答―42.4% 無答―15.2%
*水の沸点は100℃、エタノールの沸点は80℃ほど。
80℃近くで先に沸点に到達するエタノールが気化する。
「水より先にエタノールが気化するから」が正解なのだが、
図4の結果からそのように考えた理由』なので図4に適した書き方、
たとえば、『1本目の試験管を使ったときは水の沸点より低い』、
『エタノールの沸点に近い温度』といった書き方をしたほうが無難。
『表の結果』も問われているので、理由は2つ書いておこう。

(5)エ 32.3%
*1本目の試験管はエタノール。エタノールに入れて沈んだということは、
ポリプロプレンの密度はエタノールの密度が大きい
(1)2より、エタノールの密度は0.79g/cm3
他方で試験管3本目はろ紙が燃えなかったことからエタノールが含まれない→水。
水には浮かんだので、水の密度1g/cm3より小さい
ア~エの密度を計算し、0.79より大きく、1より小さい値を示すものが答え。
ア:20g÷10cm3=1g/cm3
イ:40g÷30cm3=1.33g/cm3
ウ:55÷40cm3=1.375g/cm3
エ:55÷60cm3=0.91g/cm3


ご丁寧にすべて計算せずとも、密度が1cm3より小さいものはエしかない。
縦と横の目盛り幅がちょうど同じなので、密度1cm3のラインが45度線となるから、
そのラインより低いところにあれば水に浮かぶ。

大問5(磁界)

(1)ア 32.3%!
*右ネジの法則
右手をGOODサインにして、親指が電流の向き

コイルの内側では下から上に向かって磁界が流れる。
N極が指す方向は磁界の向き(誤答はエが最多)

(2)1:2倍 63.3% 2:ウ 44.2%
3:公式解答参照、0.75A  27.5%! 一部正答―28.6%
*1:情報整理!
実験2  5V-0.5A-10Ω(X)
実験3  5V-0.25A-20Ω(Y)
  電力(W)=電圧(E)×電流(I)
実験2は実験3より電流量が2倍で電圧が一緒だから、

抵抗器Xで消費される電力(W)は、抵抗器Yの2倍。
実験2→5V×0.5A=2.5W 実験3→5V×0.25A=1.25W

2:コイルの動く大きさは電流の大きさによる。
実験3では抵抗値が2倍になので、電流量が半分となった。
〔実験2の装置を使って実験3と同じにする〕には、
実験2でコイルに流れる電流量を半分にすればいい
電圧を半分にすれば電流量も半分となる(0.25V-0.25A-10Ω

3:実験2よりもコイルを大きく動かす→電流量を大きくする。
2つの抵抗を並列につなぐ。
抵抗は電流を流れにくくするが、抵抗2つを並列につなぐと
抵抗1つのときより全抵抗が小さくなり、電流が流れやすくなる。

並列つなぎの全抵抗は逆数の和
1/R(全抵抗)=1/10+1/20=3/20
R=20/3
I=5V÷20/3Ω=0.75A

もしくは、並列の場合、各抵抗にかかる電圧はともに5Vで等しいので、
抵抗器Xとい抵抗器Yに流れる電流量の和から算出してもいい。
X;5V÷20Ω=0.25A
Y;5÷10Ω=0.5A
0.25A+0.5A=0.75A

(3)1:イ 28.6%! (2)電流の向きが変わる 22.0%!
*1:モーターの仕組み。
回転するので、ア・ウのように奥や手前にはいかない。
フレミング左手の法則を利用。
人差し指が磁界の向き、中指が電流の向き、親指が力の向き。
図3の手前からみると反時計回りに動く。図5のghでいえば右側のイ。

サボはあまりフレミング使いません。
上の図は青が電流の磁界、赤が永久磁石の磁界。
ef間とgh間でコイルの外側の矢印の向きと磁界の向きが重複するので、
ef間は左に、gh間は右側に押し出される。
(誤答はウが最多)

2:フレミングは問題集でお馴染みだが、整流子まできちんと抑えていたかどうか。
①は図3の状況。黒丸がコイルの切断面で、反時計回りにまわる。
かりに、電流の向きが変わらないで回った場合が②。
すると・・電流の磁界の向きが①と逆になり、
コイルの内側が磁界の向きと等しくなるので、力の方向が逆転になる。
モーターを回すには、半回転したときに電流の向きを逆にして
電流の磁界の向かいを反対にする必要がある


中学理科ポイントまとめと整理より。
現役の塾講師さんが作っているサイトで、見やすい図が豊富です。

そこで登場するのが整流子
コイルがまわると整流子もまわる。
スキマの部分が横になると回路が切られて、コイルには電流が流れないが、
回転の惰性(それまでの勢い・習慣)でコイルはまわり、青と黄色が反転する。
A→B→C→Dと流れていた電流が、D→C→B→Aと逆回りに流れる。
リンク先に丁寧な説明が書かれていますので、そちらを参考にしてください。
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