2020年度 渋谷教育学園渋谷中学入試問題【理科】大問2解説

リカ子:お父さん、トースターのヒーターがついたり消えたりしてる!故障しちゃったのかな?
父:故障じゃないよ。それで大丈夫なんだよ。ヒーターがついたり消えたりすることで、
 トースター内の温度をコントロールして、パンがおいしく焼けるようにしているんだ。
 ほら、バルミューダ社のホームページにもトースター内の温度のグラフ(図1)が出ているよ。

リカ子:そうなんだ、故障じゃないんだ。
 でもヒーターって、火が出ていないけど、どんな仕組みでパンを焼けるの?
父:ヒーターから遠赤外線という目には見えない光の一種が出ているんだよ。
 太陽の光でひなたぼっこしているのと同じ感じだよ。
リカ子:遠赤外線!知ってる!遠赤外線は体の芯までぽっかぽかって言うよね。
父:実は遠赤外線は物質の表面でほとんど吸収されるので、そんな深くまでは届かないよ。
 皮膚の表面であたためられた血液が体の内部をあたためているんだ。遠赤外線では、
 空気はあたたまりにくいけど、二酸化炭素や水は遠赤外線をよく吸収してあたたまるんだよ。
リカ子:なるほど!だから、このバルミューダ社のトースターは焼き始めると最初にスチーム(水蒸気)を出しているんだね。
父:その通りだね。おそらくバルミューダ社のトースターは、まずパンの表面を軽く焼き上げているんだ。だから、パンの内側の水分が逃げずにもちもちになるんだと思うよ。ふつうの食パンが本当においしくなるから最高だよね!パンは焼くときに水分を逃がさないことがおいしさにつながるんだ。
リカ子:あれ?遠赤外線は物質の表面で吸収されてしまうんだよね
 そしたら、パンの中は冷たいままになっちゃうよね
父:そうかな、リカ子。物のあたたまり方をちょっと考えてごらん。

問1
トースターでパンを一度焼いて、続けてすぐに次のパンを焼くと、いつもより上手く焼きあがらないことがあります。続けて次のパンをいつものように焼きあげるには、どのようなことに気をつけたらいいですか。図1を参考にして答えなさい。

問2
下線部①について、最初に水蒸気を出すことで、パンがおいしく焼ける理由を説明した
次の文章の( ア )~( ウ )にあてはまる言葉を答えなさい。
最初に水蒸気を出すことで、パンの表面が( ア )でうすくおおわれる。
ヒーターによって( ア )は庫内の空気よりも( イ )加熱される。
すると、パンの表面だけが軽く焼けて、パンの中の( ア )を( ウ )ことができるため。

問3
トースターの庫内の金属の天井を下の図のように、平らではなく丸い形にしている製品もあります。天井を丸い形にすることで、どのような利点があると考えられますか。その利点について説明しなさい。 

問4
下線部②について、実際にはパンの中まであたたまっています。
中まであたたまる理由について正しいものを選びなさい。
ア:パンの中の空気があたためられて膨張するから。
イ:パンのまわりのあたためられた空気がパンの中にまで入りこむから。
ウ:パンの表面であたためられた水分の熱が冷たい内側へと移動していくから。
エ:パンの中の冷たい水分があたためられた表面へと移動していくから。
オ:パンをあたためると、パンのなかの冷たい水分がぬけていくから。

リカ子:お父さん、ずっと疑問に思っていたんだけど、パンは焼いて作るのに、
 なんで食べるときにもう一回焼くのかなって?
父:なるほど、確かに不思議だね。でもそれは冷えたごはんを電子レンジで再びあたためて
 食べることと同じだよ。パンもごはんと同じでデンプンでできているから…
リカ子:ちょっと待って。パンは小麦粉で作るよ。
父:そうだね、小麦粉の大部分はデンプンで、残りはタンパク質からできているんだよ。
リカ子:そしたらパンでもヨウ素デンプン反応が見られるの!?
父:もちろん。パンをもう一回焼いて食べる理由にもどるよ。
 パンは小麦粉に牛乳などの水分を加えて生地を作るよね。お米と同じで水分といっしょにあたためられると、デンプンのすき間に水が入り込んで、ほぐれた構造になるんだ。すると消化しやすいデンプン、つまりおいしいデンプンに変わるんだ。でも冷えてしまうと、一部がもとの構造にもどってしまうんだよ。パンも焼き立てはやわらかいけど、冷えるとかたくなってしまうよね。だから、パンは食べるときにもう一回焼いて、デンプンをほぐし、やわらかい構造のデンプンに変えているんだ。
リカ子:そうなんだぁ、すごいなぁ。お父さんって、物知りだね!

下線部③について、デンプンは、たくさんのブドウ糖が同じ距離、同じ角度で結合して、図2のような「らせん構造」をしています。ヨウ素デンプン反応は、デンプンのらせん構造の中にヨウ素が入りこむことで、デンプンがむらさき色に見える現象です。デンプンには図3のように枝分かれのないアミロースと、枝分かれのあるアミロペクチンがあります。

問5
デンプンは、図2のようにブドウ糖6個で1回転するようならせん構造をしています。
連続した3つのブドウ糖がつくる角度は、およそ何度になりますか。

問6

アミロペクチンは、図4のようにブドウ糖の5個ある結合の手のうち、1番と4番を使ってらせん構造をつくり、1番と5番を使って枝分かれをつくっています。その構造を調べるために、アミロペクチン中のブドウ糖で結合していないすべての手に図5の例のようにカバーをします。

次に、1番と4番、1番と5番の結合を切って、アミロペクチンをすべてばらばらにして、「カバー付ブドウ糖」にします。ただし、結合を切るときにカバーされた手は変化せず、カバーが付いたままになります。

図6のアミロペクチンからは何種類の「カバー付きブドウ糖」ができることになりますか。


@解説@
問1:トースター内の余熱を十分に抜き取ること。

60℃→160℃→220℃と状況に応じて温度が変化している。
トースターの余熱を抜き取らずに続けてパンを焼いてしまうと、
初期の温度が高くなってしまい、適切な温度変化が実現できない。

問2:アー水、イー早く、ウー閉じ込める
水蒸気を出すとパンの表面が水で濡れる。
リード文より、遠赤外線で空気はあたたまりにくいが、水は遠赤外線をよく吸収するので、
庫内の空気よりも水が早く加熱される。
すると、パンの表面が軽く焼け、パンの中の水分を閉じ込める。
閉じ込められた水分がなかで膨張することでパンをふっくらさせる(๑´ㅂ`๑)

麻布のパイ生地問題でも類題がでております。

問3:遠赤外線を網の上に反射させることで、効率良く温める。
対流に発想を飛ばしてはダメ×
天井をドーム状にすると対流が起こりやすそうだが、遠赤外線は熱放射(熱輻射ふくしゃ
熱放射の焦点を網の上に向けることで、効率よく温めることができる。

石窯のドームも遠赤外線の焦点を窯の底に合わせることで加熱する。

日テレより、反射炉の仕組み。
社会科にでてくる韮山(にらやま)反射炉は鉄を溶かして大砲を作り、
日本の近代化に貢献したとして世界遺産に登録されている。
反射炉もうえのように熱を反射させて、鉄が置かれた部分に集約させる。

問4:ウ
遠赤外線はパンの表面で吸収されてしまうが、実際はパンの内部まで温まる理由。
熱伝導

問5:120度
横からみると正六角形なので、その1つの内角を答えればいい。

問6:4種類
問題が特殊系(;^ω^)
結合しなかった手にカバーが付けられる。
カバーのない手を見つけた方がやりやすいかもしれない。

ブドウ糖が16個もあるが、問われているのはカバー付きブドウ糖の種類。
種類は少ないので、落ち着いて数えていけばいけるはず(」゚Д゚)」
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