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2017年度 千葉県公立高校入試【後期】国語解説

平均67.2点

大問1(リスニング)-83.1%

(1)イ 86.0%
*下手に考えすぎるとわかんなくなるので、素直に考える。
写真からどのような様子が伝わるかについて言及し、①と③を候補に挙げている。

(2)ウ 92.4%
*田代の考えに同意したうえで、学校行事の写真を取り入れるべきと新しい角度から提案をしている。

(3)③④⑥⑦ 71.0%
*番号の管理をきちんを行えたかどうか。
各4点なので失点は大きい。

大問2(漢字読み)-82.6%

(1)こ(らす) 88.1%  (2)のぞ(む) 72.0%
(3)たいぐう  94.8%     (4)まてんろう   75.4%
*摩天楼は語彙力が試される。英語ではskyscraper(スカイスクレイパー)
空(sky)を削り取る(scrape)ほどの超高層ビルディング。
待遇=もてなし、取り扱い

大問3(漢字書き)-68.2%

(1)逆  72.4%   (2)囲まれた  95.7%  (3)包装 61.6%
(4)強化 87.9%  (5)無病息災    23.5%!
*無病=病気を患わない、息災=健康である。
息災は仏教用語で『災いをとどめる』(とどめる=息める)という意味だそうです。

大問4(物語文)-66.4%

記述なし!後期は時間との勝負なのでスピード大切。
(1)① 58.3%
*①は形容詞『熱い』が動詞『なる』に接続するため連用形『熱く』に活用している。
形容詞は人やものごとの状態や性質を表す。①は「胸の奥」の状態説明。
①以外は副詞。副詞は主に連用修飾をする。②は「違う」、④は「笑っている」(動詞)
③は「おだやか(形容動詞)でやさしく(形容詞)て静か(形容動詞)だ。」

(2)イ 76.5%
*2行目「それはたとえていえば、空にかかる虹、あるいは南の国の太陽の味がする~
どんな言葉で表現したら、いいのだろう。」ソフィの新感覚な味を口にして、
やや大げさな気もするが壮大な例えを交えつつ、心を打たれている。
口の中で消えゆくソフィの味を惜しみ、一生この味を忘れまいと噛み締める。
ア:「私もこんな風にお菓子をつくりたい」と明日実は言うが、
傍線部Aの段階ではイが最も適する。

(3)エ 76.4%
*「金メダルの味がする」といった明日実のセリフに対するソフィのリアクション。
後ろで、「オリンピックの金メダルのこと?一等賞の人に贈られるメダルのことね」と確認をいれ、喜び、感謝する。
つまり、ソフィは一瞬、明日実の風変わりな例えの意味がわからずに驚いた。

(4)エ 65.5%
*選択肢がかなり紛らわしい。直接的な描写がなく、やや難。
菓子に対するソフィのプレゼンは見事だが、明日実には少し難しく、十分には理解できなかった。しかし、「きっと、それは、明日実が感じた、あのざわざわした不思議な気持ちのことを言っているのだと思った」。あのザワザワした不思議な気持ちとは?同じ言い回しが傍線部Aの次あたりにでてくる。
日本チームが勝ったと聞いた時のざわざわした不思議な気持ちが思い出された」。
そして、ソフィの味を金メダルの味と例える。本文初めの経緯の説明から東京五輪で女子バレーボールの日本チームが金メダルを獲得した日にストーリーは展開する。日本チームの優勝をみて明日実は何を思ったのか。
直接的な描写が見当たらないので、そのときのザワザワした不思議な気持ちに想像を働かせなくてはならない。
フランスからやってきた凄腕の製菓職人であるソフィを目の前にして胸の奥から湧きあがる”何か”と、日本チームが優勝した瞬間に感じた”何か”には共通した部分がある。
それはザワザワとしていて確たるものではないが、明日実を突き動かすほどの強い衝撃だった。
ア:確かに金メダリストは数々の試練を経験して自己の成長を成し遂げたと思うが、それを明日実が知ったと断言するのは難しい。「将来に明るい希望を見出した気持ちに浸っている」という表現もやや上滑りな印象がある。
イ:頑張ろうと一歩踏み出す姿勢は感じ取れるが、「苦境の時期にこそ自分の目標を持ち」の部分まで明日実が感じえたかは不明。選択肢を吟味して、怪しさを感じたものは選ばない方が良い。
ウ:ソフィの演説では、「菓子は~豊かなものにしてくれます」とあるが、彼女がこれを東京五輪の方で人の心を豊かにしてくれるものがあると実感できたかは不明。くわえて「反省」というネガティブな気持ちが不適。
エ:ソフィのセリフ、「あなたが本当にお菓子が好きなら、そのための努力を惜しまないなら、人は自分が思い描いたような人になれるのよ」。エが正答となる大きな理由はここにある。スポーツの金メダルと金メダルの味。五輪の話とソフィの話には『努力と実現』の共通項が見出せる。リオ五輪でも日本選手がメダルを獲った知らせを聞いて、勇気をもらった日本人は多いはず。後半も○
 
この問題の嫌なところは、日本チームが優勝したときに感じるであろう気持ちを全ての選択肢で巧みに書き上げている点。
しかし、設問はソフィのセリフを聞いたあとの明日実の心情を問う。ソフィの話を聞いて感じたものと、描写のない日本チームの金メダルの知らせを聞いたときに感じたものがリンクしなくてはならない。
片方の描写がない以上、無難な選択肢を選ぶべき
際どい選択肢の問題は言い過ぎていたり、かすかな違和感を覚えたら保留して最後に検討する。はじめにある経緯の説明もきちんと読むこと

(5)Ⅰ:ウ Ⅱ:明日実の味 91.5%・17.7%
*Ⅰ:ソフィの菓子に対する熱弁を参照。イは安心が適さない。
Ⅱ:発言の主体は明日実。ソフィの味に準(なぞら )えるように”明日実の味”となる。

(6)イ 78.9%
*明日実は想像力の豊かな子。金メダルをとった日本チームと金メダルのケーキを作った自分を重ね合わせる。直前、「明日実は体が熱くなり、飛び上がりたいような、泣きたいような、不思議な気持ちになった」
アナウンサーの熱狂的な実況中継は、明日実の興奮っぷりを照り返している
アエ:耐えられるかどうかと不安定な意思ではない。将来に向かって真っ直ぐ伸びている。
イ:現実にアナウンサーから後押しされているわけではないが、妄想でそう感じているということ。
ウ:今の自分ではなく金メダルのケーキを作る夢を実現した、将来の自己像に対して。

大問5(説明文)-57.7%

(1)エ 77.6%
*『ふつう、・・には、伝達された( A )に注目する。しかし彼は、どんなメディアを使うかということもひとつの「メッセージ」であり、~に注目したのです。』
どんなメディアを使うか=メディアの手段。「しかし」の逆接なので、Aは手段の対義語である内容となる。”普通は内容に注目する。しかし彼は手段にも注目した”という流れ。

(2)①例:瞬時に相手に情報が届いて便利になった(18字)
6点―27.2% 4~5点―18.5%
②例:個人が入手できる情報が無限大に広がった(19字)
3点―22.0% 1~2点―7.8% 無答―11.8%
③緊急性や重要度  52.7%
*①②はネット社会のメリット、③はデメリット。
本文はネット社会のデメリットに重点が置かれているので、メリットの話は逆接の手前に表れやすい。(逆接のあとで主張したいデメリットの話につなげるため)
①傍線部Bの次。『瞬時に相手に届くという点』。何が届くのか、これを補足する。
国語の解答文は、本文を読んでいない人にも伝わるように書くこと
サボの例は、次の「便利にはなったのです」を付け加えている。逆接のあとにデメリットが書かれてある。
②2コ先の段落のはじめ。『個人が入手できる・・広がりました』。逆接のあとはデメリット。
③教授の答え「緊急性の目印がなくなり、どの情報もフラットになる」
緊急を要するメールとスパムメールの違いを区別できない。重大な情報とゴミのような情報との区別がつけられず、全てが横並びになってしまう。緊急な情報や重大な情報を見つけにくい。これを念頭に置いて、似た意味の7字を探す。
①②の逆接のあとを探してみよう。

(3)ウ 69.5%
*レトリック(修辞)問題。『情報の海』は暗喩。ウは「稲穂の波」が暗喩となる。残りは比喩ではない。

(4)ア 75.0%
*2人の研修者とは、文頭のメディア研究者マーシャル・マクルーハンと、筆者がベルリンで取材したマサチューセッツ(MIT)の研究者。誤答は後半が明らかな誤りなので選びやすい。
イ:筆者はどちらかというとデジタルメディアへの依存に警鐘を鳴らす。有用性もあるが危険性もある。
ウ:デジタルメディアの活用に注意は必要だが、かといって手紙などのアナログな手段を推奨するわけでもない。
エ:本文の骨子は「メディアとの付き合い方」。多様なメディアの特性の違いに注目しながら、うまくメディアと付き合うべきだと主張する。

(5)例:相手を不安にさせないため。(13字)
4点―44.4% 1~3点―11.9% 無答―21.5%
*日経の短文コラムを読んで、「平信」の意図を記述する設問。
メディアはメッセージ。どのメディアを選択するかによっても送り手のメッセージがそこに込められる。
不通の人からひさびさの手紙が届けば、何事が起きたのかと不安にかられてしまう。
そこで「平信」と記し、普通の便りであると知らせることで、受け手は封を切る前から安心感を覚える
何気ない配慮は美しいもの。日本人の美徳ですね。

大問6(古典)-66.2%

(1)用いる 74.7%
*ワ行の変換。ゐ→い、ゑ→え

(2)ア 75.5%
*達筆な昭乗が関東にきて将軍家の前で物を書いたが、
「関東は水が悪くて筆の勢いが伸びづらい事情」を言った。

(3)関東は~がたき 56.1%
*「京都の柳の水は軽くて物を書くのに適している。」
これと対照的な内容は関東のお水。前述の昭乗のセリフ。

(4)ウ 74.2%
*”関東の水は悪い、京の柳の水がよろしい”と答えた昭乗を将軍は怪しんだ。
そこで、真偽を確かめるため、ひそかに京へ人を使わせ、柳の水を取ってきて、
再び昭乗を招いて実験した。

(5)ア 50.3%
*昭乗は筆で少し文字を書いただけで、「これは軽くて良い水である。京都で用いる柳の水と変わらない」と見事に言い当てた。本物の書家は、筆で水を選別できるほどの境地にいたるらしい。。
ウ:結果的に将軍の誤解を解くことに成功するが、物語の焦点は昭乗の並外れた眼力の偉大さにある。
 
昔は墨汁ではなく、硯(すずり)に水を入れ、固形の墨をすって墨を作っていた。
良き墨は良き水の上に成り立つということか。

大問7(条件作文)-27.3%

10点―27.3%  6~9点―35.4%  1~5点―11.1%  無答―7.9%
資料問題ではなかった。ことわざを用いて自分の意見を述べる。

■虎穴に入らずんば虎子を得ず
虎の子を得るには虎の住むホラ穴に入らなくてはならない。
転じて、危険を冒さなければ大きな成功は得られない。虎児は貴重なものの例え。
■君子は危うきに近寄らず
学識や人格に優れた人物は、自分の行動を慎んで危険に近づかない。

虎穴ならば難しい曲にチャレンジする。君子ならば今まで練習した曲のまま。
ことわざを適切に引用する。ことわざの紹介→あてはめ。これだけでいくらかの点数はもらえる。
自分の意見を述べるので、小論文のテクニックを知っていると有利。
(サイト内でも紹介しております。詳しくはコチラ
形式は自由だが、結論(意見)→理由(ことわざの引用)→再び、結論(意見) という流れが書きやすい。
引用はことわざの紹介で終わってはいけない。練習曲を何にすべきかという事例にあてはめすること!虎穴に入らずんば虎子を得ずといわれるように、安全な道を選択しては合唱コンクールで優勝できない。君子は危うきに近寄らずとの言葉があるように、残り時間が少ない状況で危ういことをすればかえって中途半端に終わる。
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