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大問1(世界地理)
(1)インド洋 93.0%
*昨年の初問でも三大洋がでている。
インド洋はインドの沖合だけではなく、
アジア~オーストラリア~南極~アフリカに囲まれた海洋をさす。
(2)P:アジア州、Q:銅 73.6%(一部正答17.7%)
*P:2017年の3ヵ国→日中韓の東アジア(アジア州)
Q:最も割合が高いのは銅。そのまんまである。
チリは銅鉱の生産量1位で典型的なモノカルチャー経済(特定の一次産品に依存した経済構造)
縦に細長いチリ中部には地中海性気候が広がり、ブドウの栽培やワイナリー経営が行われている。
日本はチリからワインのほか、サケ・マス類を輸入している。
(3)イ 40.9%(一部正答29.2%)
説明―6月から9月は気温の高い夏で、この期間の降水量が少ない。
*ようは夏に少雨となる地中海性気候。
サンフランシスコは北半球だから6~9月が夏。
夏が少雨・乾燥、冬の方が降水量の多い地中海性気候に属する。
ア:7月の気温が低い→南半球にあるオーストラリア南西部のパース。
夏にあたる12~1月が少雨乾燥しており、南半球の地中海性気候である。
ウ:西岸海洋性気候のパリ。暖流・北大西洋海流と偏西風のコラボで、
高緯度の割に冬は温暖である。(パリは北緯48度、稚内は北緯45度)
地理講義より大陸別高度分布。ヨーロッパ州は200m以下の陸地が50%を超える。
この壁の低さが偏西風の影響を奥地まで届かせている。
なお、南極大陸の平均標高は2000mを超えている!
(4)ア・ウ・オ 41.4%(一部正答7.5%)
*資料問題。すべて式なので全部調べる必要がある。
ア:4059/9834…分子を3倍すると分母を超えるので、3分の1以上。〇
イ:フランス…29504/54655、アメリカ…62859/475984でフランスの方が割合は高い。×
小麦の生産量;1位中国、2位インド、3位ロシア、4位アメリカ。
アメリカはトウモロコシの生産量1位、大豆はブラジルに次ぐ2位である。
大雑把なコーンベルトの位置。とくにアイオワ州とイリノイ州の生産量が多い。
穀物メジャー(巨大な穀物商社)の支配が強く、穀物の国際価格に大きな影響を与えている。
ウ:豪州…3247/3711、日本…6/45で、豪州の割合が高い。〇
日本はオーストラリアから牛肉や羊毛を輸入している。
エ:耕地面積…米→豪→仏→日→チリ、穀物生産量…米→仏→豪→日→チリで違う。×
新詳地理資料より。1人あたりの生産量を労働生産性、1haあたりの生産量を土地生産性という。
経営規模の大きいオーストラリアは労働生産性が高いが、土地生産性が低い。
一方でフランスは機械化による少人数経営に加え、単位面積あたりに巻く化学肥料の量が多く、
労働生産性と土地生産性がともに高い。
オ:人口密度=人数÷面積。127749千人÷378千km2…で日本が最も高い。〇
大問2(日本地理)
(1)東経135度 61.1%(一部正答1.2%)
*日本の標準時子午線は東経135°で、兵庫県明石市を通過する。
@標準時@
世界中の人が同じ時間を共有していても、おのおので時計の針が異なるのは、
標準時子午線の経度が異なることで時差が生ずるから。
太陽の運行は地球の自転による。子午線はもともと天文学用語で、理科で習う天球を構成する大円のこと。地理ではある地点を通る経線をその地域の子午線と言う。1884年、ワシントンで開かれた国際子午線会議でイギリスのグリニッジ天文台を通る子午線を本初子午線とし、これを境に地球を東経・西経に分かつ。本初子午線を基準とする時刻は世界標準時(GMT)といい、各地で採用される標準時は、本初子午線と標準時子午線の経度15度差ごとに世界標準時と1時間の時差が生ずる。日本は東経135度が標準時子午線で、イギリスとの時差は135÷15=9時間前となる。
(2)ウ 51.6%
*わかりやすいところから判定。
Ⅱ:冬の降水量が多い→雪が降る日本海側だから島根の松江市。
Ⅰ:夏も冬も降水量が少ない→瀬戸内海に面した広島市。
中国山地と四国山地に挟まれた温暖な地域。広島はレモンの生産量1位。
Ⅲ:夏の降水量が極めて多い→太平洋側にある高知市。
暖流黒潮と季節風の影響を受けて高温多湿に。高知は年間降水量が高く、森林率が1位。
(3)イ 81.0%
*わかりやすかった。
X:人口が最も多く、工業出荷額が大きい→広島
Z:果実が高い。みかん・いよかんの名産地である愛媛。
Y:促成栽培の高知。ナス、キュウリ、ピーマンなどが栽培されている。
(4)リアス海岸、海岸線が入り組んでいる。 64.3%(一部正答22.7%)
*昔風に「リアス式海岸」と書いてもバツにはされないと思う。
志摩半島の英虞あご湾は真珠の養殖が盛んで、御木本幸吉が世界で初めて養殖真珠を成功させた。
リアスの由来はスペイン北西部のガリシア地方の入り江(ria)からきている。
リアス海岸の成因は、河川の浸食作用によりV字谷が形成され、
地面の沈降もしくは海水面の上昇で海水が浸入することでできる。
氷河の侵食によるU字谷に海水が浸入するとフィヨルドになる。
(5)ウ・エ 72.8%(一部正答3.7%)
*地形図問題。
ア:右手に宍道湖。×
島根の宍道湖や中海はシジミの名産地で、淡水と海水が混ざる汽水湖。
イ:南東。×
ウ:8cm×25000=200.000cm=2.000m=2km〇
エ:老人ホームの地図記号。〇
オ:等高線が密であるGH間の方が急。×
GI間は尾根になっている。
大問3(前近代史)
(1)天武天皇 40.6%
*本来は天智天皇の弟である大海人皇子(おおあまのおうじ)が次期天皇になるはずだったが、
天智天皇は子の大友皇子に継がせたいと周りに話していた。
大海人皇子は妻子を連れて吉野に身をひくが、天智天皇の死後に挙兵。
壬申の乱(672)で大友皇子を討ち破り、天武天皇として即位する。
ちなみに、天武天皇の皇后がのちの持統天皇。
(2)娘を天皇の后にして、その子を天皇にした。 41.9%(一部正答38.9%)
*摂関政治。頻出の記述である。
娘を天皇の后として嫁がせ、その子(清盛や道長からみた孫)を天皇にする。
自らは母方の親族(外戚)の立場から天皇が幼い頃は摂政、
成人後は関白という地位に就き、天皇を補佐する名目で権勢をふるった。
(3)ウ 35.7%
*室町幕府3代将軍の足利義満は、明と勘合貿易を行う。
室町時代の出来事を選ぶ。
X:イスラム教の始まりは7世紀。日本史でいえば飛鳥時代。
(乙巳いっしの変—645年、白村江の戦い―663年、大宝律令制定—701年、奈良時代—710年~)
ムハンマドは唯一神アラーの啓示を受けた預言者(not予言者)。
メッカでの布教活動は迫害を受けて、メディナ(当時はヤスリブ)に聖遷(ヒジュラ)
そこでイスラム教の共同体ウンマを結成して力を蓄え、のちにメッカを支配する。
Y:チンギス・ハンのモンゴル帝国成立(1206年)
チンギス・ハンの孫にあたる5代皇帝フビライ・ハンが鎌倉の元寇(蒙古襲来)を起こしたので、
ここから室町ではないと弾ける。
Z:李成桂による李氏朝鮮の建国(1392)。年号が難しいので、XとYで決めたい。
元の属国となった高麗では、元の衰退と明の建国を受けて内政が混乱していた。
高麗の武将であった李成桂がクーデターを起こし、都を漢城(現ソウル)とする李氏朝鮮を建国。
彼はのちに太祖と呼ばれるようになる。李朝の最盛期は4代国王・世宗(せいそう)
日本史との関係では朝鮮通信使や秀吉の朝鮮出兵など。日本による韓国併合(1910)で消滅。
(4)ア 60.1%
*Ⅳは安土桃山。生野(いくの)銀山は現在の兵庫県。
a:わび茶を大成した千利休→桃山文化
b:上方(かみがた;京都や大阪)を中心に栄えた町人文化→江戸中期の元禄文化
近松門左衛門は人形浄瑠璃。代表作は『曽根崎心中』、『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』
国性爺合戦は鄭成功(ていせいこう)をモデルにした人形浄瑠璃。
鄭成功は最後まで清の支配に抗った人物で、台湾では英雄視されている。

すずり箱は『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』

光琳といえば、『燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ )』も有名である。
(5)エ 44.1%
*Ⅴは田沼意次の改革(18世紀後半)
銅や俵物(アワビやナマコを干したもの)の輸出や株仲間を奨励した。
エ:江戸時代の村の自治。細かい知識なので消去法で攻略したい。
本百姓は検地帳に土地所有者として登録された地主や自作農で年貢を納める義務を負う者。
本百姓5戸を1組とする五人組をつくり、年貢の納入や治安維持に関する連帯責任を課した。
これに対する水呑(みずのみ)百姓は小作人で年貢を納める義務がない者。
しかし、水呑百姓は専業農家というわけではなく、他の仕事を持つ兼業農家に近かったようだ。
本百姓の中から庄屋・組頭・百姓代といった村役人(村方三役)が選ばれた。
庄屋…村長。年貢の取立てや管理、その他民生全般を担当する。
関東では名主(なぬし)と呼ばれていた。
組頭…庄屋の補佐。
百姓代…不正を防止するための監視役。
ア:土一揆から室町。土一揆の『土』は土民で農民を指す。
農民が荘園領主や幕府に対して借金の取り消しを要求。土倉や酒屋といった高利貸しを襲った。
近江の馬借がきっかけとなった正長の土一揆が有名。
イ:永仁の徳政令(鎌倉)
元寇での蒙古軍との戦いでは新たな領地を手に入れたわけではないので、
将軍から与えられるべき恩賞(土地)が十分ではなかった。
また、鎌倉時代の武家の相続制度は、一門のリーダーである惣領(そうりょう)だけでなく、
それ以外の庶子(しょし)や女性に対しても遺産が分割されていた。
この分割相続を繰り返すことで御家人の経済力が減少していく。
徳政令で一時は救われたものの、幕府に対する不満は高まり、時代は倒幕へと向かう。
ウ:検地帳から太閤検地(安土桃山)
日本野島博之のグラサン日記より。従来の土地制度であった荘園公領制。
荘園は私有地で、重い税を免れたり、役人の立ち入りを拒否する特権を得るために、
有力な貴族や寺社に寄進した寄進地系荘園。
国司が実質的な支配を握っていた公領(国衙こくが領)。
二種類の土地に複数の権利者が重層的に絡み合い、暗記するのが泣きたくなるほどの複雑さ…。
秀吉の検地によって権利関係がスッキリしました。
大問4(近現代史)
(1)ア 71.6%
*P:『民撰議院設立建白書を政府に提出』→自由民権運動の立役者である板垣退助。
明治六年の政変で政府を去った板垣は土佐で立志社を立ち上げ、大阪で愛国社を結成。
のちに国会期成同盟に改め、国会の開設を政府に求めた。
Q:国会の開設や憲法の制定に急進的であった大隈重信を、
漸進派の伊藤博文が開拓使官有物払下事件を機に政界から追放する(明治十四年の政変)
明治天皇が国会開設の勅諭(1881)を表明、10年後に国会を開くことを約束した。
板垣を党首とする自由党―フランスの民権思想を受けた急進派
大隈を党首とする立憲改進党―イギリス流の議会制度や立憲君主を理想とする漸進派
(福地源一郎を党首とする立憲帝政党—藩閥政治を支持する保守派)
(2)例:工業化が進んで国内の紡績業が盛んになり、綿糸の輸出量が輸入量を大幅に超えた。
16.3%!(一部正答70.6%)
*グラフ1→綿糸の輸出量が輸入量を大幅に超している。
グラフ2→綿糸の国内生産量が増えている。(紡績業の発達)
資料→機械化
これらをつなげて、輸出量の増加に結べばいい。
日本の工業化(産業革命)は19世紀後半(とくに日清・日露戦争あたり)から始まった。
新紙幣の肖像になった渋沢栄一が設立に携わった大阪紡績会社(現在の東洋紡)を皮切りに、
大阪には紡績会社が相次いで創業し、一時期は東洋のマンチェスターと呼ばれた。
(18世紀後半、歴史の大きな転換点となる産業革命はイギリスのマンチェスターから始まる)
(3)イ 62.1%
*1933-45年の出来事を選ぶ。
イ:国家総動員法は戦時中の第一次近衛内閣で成立(1938)
日中戦争の長期化に備えるため、政府が帝国議会の承認なしで
ヒトやモノの動きを自由にコントロールできる白紙委任法である。
(委任の内容を受任者がほしいままに書き換えられる『白紙委任状』になぞらえて、
政府が議会の判断に縛られず、勝手に運用できる法律を白紙委任法という)
国家総動員法の制定で国民が一丸となって戦争勝利に向かう総力戦体制が整えられた。
ア:農地改革は戦後の占領統治下。GHQによる経済民主化の1つ。
国が地主から農地を強制的に買い上げ、安い値段で小作人に売り渡して自作農を創出した。
ウ:シベリア出兵(1918)
出兵を見越した米の買い占めで米価が4倍ほど高騰する。
米騒動に発展して寺内正毅内閣が退陣、原敬内閣へ。
エ:公害対策基本法の制定。
驚異的な経済成長の裏で公害問題が発生。1960年代後半に制定された。
経済界の要請で経済調和条項が設けられたが1970年の公害国会で削除。翌年に環境庁設置。
現在は環境基本法に生まれ変わっている。
(4)イ→ア→エ→ウ 39.2%(一部正答0.2%)
*経済史。
イ:朝鮮戦争の勃発(1950-53)
北朝鮮が北緯38度線を越えて韓国へ侵攻。
当初は北優勢だったが、国連の安保決議により派遣された多国籍軍の投入で南が逆襲。
これに毛沢東が100万人規模の人民義勇軍で応戦し、戦況は膠着状態になる。
1953年、板門店で休戦協定が結ばれる。(現在も朝鮮戦争は終息していない)
また、このあいだに日本は大量の軍需物資を調達して特需景気(朝鮮特需)に恵まれた。
ア:高度経済成長期(1950年後半~1973)
朝鮮特需の影響で神武景気が起こり、経済成長の幕開けが訪れる。
1956年の経済白書には「もはや戦後ではない」と記された。
池田勇人の所得倍増計画では10年以内に国民所得を2倍にするものであったが、
目標よりも高い経済成長を遂げ、国民1人当たりの国民所得は7年ほどで達成。
1968年には西ドイツの国民総生産(GNP)を抜き、アメリカに次ぐ経済大国に躍り出る。
エ:第一次オイルショック(1973)
戦後初のマイナス成長。高度経済成長が終わりを告げる。
富士フィルムより。原油価格が段階的に上がっています。
第1次オイルショックは第四次中東戦争、第2次はイラン革命が原因。
新電力ネットより。原油価格の高騰で電気代もググッと上がっています。
景気低迷を受けて、1975年から赤字国債の発行が開始。
一時は赤字国債発行額ゼロの年度もありましたが、今は常態化しています。
ウ:バブル経済(1986-91)
1985年、国際的なドル安誘導(プラザ合意)による円高不況の懸念から、
日銀は景気刺激策として公定歩合を引き下げる。この超低金利政策が熱狂的な投資活動を誘発し、
”地価は下がらず、青天井に上り続ける”との土地神話もささやかれ、財テクブームが到来。
地価や株価は急騰し、日経平均は一時39000円に迫る勢いだったが、
実体経済に伴わない好景気は崩壊へ突き落とされる宿命である。
80年代のディスコで騒ぐ若者たち。皆さん楽しそうに踊っています。
(5)冷戦、ア 65.3%(一部正答16.0%)
*戦後の冷戦。
アメリカを盟主とする資本主義陣営(西側諸国)vsソ連を盟主とする社会主義陣営(東側諸国)
米ソが直接戦火を交えることがなかったためにこうよばれる。
後半は、キューバ危機(1962)
映像の世紀より。アメリカの偵察機U2がとらえた、キューバで建設中のミサイル基地の映像。
カリブ海に浮かぶキューバはフロリダ半島から目と鼻の先にあり、
ソ連はひそかに核弾頭と中距離ミサイルの運び込みを進めていた。
アメリカ本土を直接射程にとらえた基地の建設に米ソの緊張関係は一気に高まる。
以下、映像の世紀で放送された内容です。
ソ連のフルシチョフ書記長は、回想録で以下のようにつづっています。
『フルシチョフの回想』
アメリカはカストロのキューバが存在するという事態を
決して容認しないだろうと我々は確信していた。
しかしもし我々がキューバを失ったならば
それが共産主義に対する手痛い打撃になり
我が国の威信は失墜する。
我々はカリブ海へのアメリカの介入を
効果的に食い止める措置を講じなければならなった。
その答えがミサイルだった。
我々のミサイルは西側が好んで口にする
力の均衡の釣り合いをとってくれると思われた。
アメリカは我が国を軍事基地で包囲し核兵器で脅かしているが
敵のミサイルが自分に向けられていれば
どんな気がするか 今や彼らが知るべき時だった。
ケネディ大統領はキューバの周辺海域の封鎖を指令。
キューバへ向かう船の臨検が始まりました。
世界に展開するアメリカ軍は警戒態勢のもとに置かれました。
一方、キューバでは全軍に動員令が発せられ戦闘態勢に突入。
アメリカ軍を迎え撃つ準備が進められたのです。
世界が固唾をのんで見守る中、米ソ首脳は息詰まる交渉を続けていました。
フルシチョフがミサイル撤去に同意するまでの数日間、
世界は初めて核戦争勃発の危機に直面したのです。
『ロバート・ケネディの回想』
大統領の表情はひきつり
目は苦悩のためほとんど灰色に見えた。
彼は戦争を引き起こすいろいろな誤算について語った。
我々が戦いたくないのと同様ソビエトも戦いたくないのだ。彼らは我々との戦争を望まないし我々も彼らとの戦争と望まない。
しかもなおここ数日の出来事が今後も続けば
戦いは全人類を巻き込み世界を破壊してしまうだろう。
大統領を一番悩ませ
戦争の見通しを恐ろしいものにしたのは
アメリカと全世界の子どもたちが死んでいく幻影であった。
戦争を抑止するという理由で、米ソ両国は核軍拡の道を歩んできました。
そして相手からの核攻撃を恐れるあまりに
先制攻撃のボタンを押しかねない状況に追い込まれていったのです。
核の時代の平和。
それは恐怖の均衡の上に成立したもろく危うい平和にすぎない。
この事を人々は思い知らされたのです。
@@
ソ連側が譲歩し、ミサイルの撤去したことで核戦争は回避されます。
2人の決断次第で世界の命運が大きく分かれる出来事でした。
受話器を握っているケネディ大統領は精神的に困憊していたのか、顔が老けて見えます。
核廃絶の動きは今後も出題されると思うので、是非おさえておいてください。
大問5(公民)
(1)エ 86.3%
*Ⅰ:知る権利は明文されていないが、表現の自由を定める憲法21条で保障されている。
20世紀に入り、巨大な社会的権力を握った”情報の送り手”であるマスメディアと、
“情報の受け手”である一般国民の分離・固定化が顕著となり、また情報の重要性が高まった。
そこで、21条(表現の自由)を情報の受け手側から再構築して「知る権利」が生まれる。
Ⅱ:情報公開法は、行政機関が保有する情報の開示請求にかかる法律。
情報公開条例という形で地方が先行した流れで、ようやく国会で成立した経緯がある。
情報公開法制定当時には知る権利が正面から認められていなかったようで、
同法1条の目的では国民主権原理が根拠として挙げられているものの、
3条の開示請求権の主語は「何人」となっており、外国人でも開示請求ができる。
国民主権に照らして原則、国が保有している情報は国民の情報であるが、
一方で、防衛・外交・スパイ活動防止・テロ防止に関する重要情報については、
特定秘密保護法によりその情報漏洩に対する罰則規定がある。
(2)ウ 54.6%
*X:国会は行政機関ではなく立法機関である。×
憲法41条『国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である』
『国権の最高機関』といっても国会があらゆる国家機関のなかで優越している訳ではなく、
国民から選ばれた代表者で構成され、国会が国政の中心的な地位に位置づけられている点を
政治的に美称したとするのが通説的な見解である(政治的美称説)
Y:国政調査権は各議院の権能。〇
証人の喚問や書類の提出を求めて国政に関する広い調査権を持つ。
正当な理由がない限り拒否することができず、実効性を高めるために罰則が設けられている。
ちなみに、地方議会にも似たようなもので100条調査権がある(地方自治法100条に由来)
(3)①与党 80.0%
*与(くみ)する…味方する
与党は内閣(行政)に味方をする政党→政権を担当する政党。
野党の『野』は在野や下野と一緒で民間≒政権を担当しない政党。
②内閣は国会の信任のもとに成り立ち、国会に対して連帯責任を負う
23.2%!(一部正答22.7%)
*議院内閣制の説明。
内閣の首長である内閣総理大臣(首相)は国会からの指名で選ばれる。
内閣総理大臣が国務大臣を任命して内閣を組織する(組閣)
国会の信任が内閣の基礎となるので、その信任が崩れたら内閣は存立の根拠を失う。
(内閣不信任決議案が可決されると、内閣は総辞職か解散権を発動しなければならない理由)
基本的に内閣総理大臣は第一党の党首が選ばれやすい。
議院内閣制の下では国会と内閣は協力関係にあり、内閣には法案提出権が認められる。
これに対し、アメリカのような大統領制は立法府と行政府の厳格な分離が徹底しており、
大統領は議員を兼任せず、国民から直接選ばれるので議会の信任を基礎としない。
ゆえに、議会は大統領に対する不信任決議ができない。
(4)P:検察官、Q:裁判員 66.6%(一部正答16.2%)
*P:検察官は司法試験を突破した刑事法のエキスパート。
捜査機関である警察が集めた証拠資料をもとに、被疑者を起訴(公訴)をする。
起訴するか不起訴にするかの判断は検察官の専権事項である(起訴便宜主義;刑事訴訟法248条)
刑事裁判以外にも公益の代表者として、本人のために後見人を付すための審判開始や、
親権の喪失・停止の請求権者に検察官の名が民法の条文で挙げられている。
Q:多くの国民が忘れかけている裁判員制度。
裁判員は選挙人名簿に記載されている18歳以上の国民からランダムに選ばれる(2023年以降)
すべての刑事事件ではなく、一定の重大事件における第一審のみに参加する。
6名の裁判員と3名の職業裁判官の合議で犯罪事実の認定と量刑判断について話し合う。
多数決では裁判員か職業裁判官のそれぞれ最低1名以上が賛成しないと評決されない。
(5)イ 67.1%
*表問題っぽいが、知識も問われる。
ア:『必要な収入をまかなうことが困難な地方自治体が借り入れるもの』→地方債
公債の一種である地方債は借金なので返済義務がある。地方税は自主財源なので返済義務なし。
イ:『地方公共団体の間の財政格差をおさえるために国から配分されるもの』→地方交付税交付金
財政が潤っている東京都は交付を受けていない。
ウ:『特定の費用の一部について国が負担するもの』→国庫支出金
用途が限られる特定財源の一種。対して、地方税のように自由に使えるものを一般財源という。
表では平成31年の収入額の方が少ないので×。
エ:『地方公共団体が独自に集める自主財源』→地方税
多くの地方自治体は自主財源である地方税が歳入の3割程度しかない。
これを三割自治といい、中央政府に財政が依存している。
@@
埼玉の名門校・浦和明の星女子で出題されました。
条例によって導入された自治体独自の地方税(法定外税)を選ばせる問題です。
ワンルームマンション税というのは、正式には狭小住戸集合住宅税というらしいです。
端的にいうと単身者向けの間取りが小さい集合住宅に税金を課すことで、
ファミリー層向けの集合住宅を増やし、家族で地域に越してきてもらいたい思惑があります。
>>豊島区
大問6(総合問題)
(1)エ 62.1%
*文化史。
エ:庶民を担い手として発展してきた文化→江戸後期の化政文化
十返舎一九が描いた『東海道中膝栗毛』は、お伊勢参りに向かうために、
東海道を旅する道中の話を面白く描いた滑稽本。
ア:能を大成させた観阿弥・世阿弥→室町
猿楽は唐の散楽をもとにした滑稽な芸能。田楽は田植えの際に五穀豊穣を祈る芸能。
猿楽や田楽が能のルーツとなり、足利義満の保護を受けて能を完成させた。
イ:平家物語→鎌倉時代の軍記物
内容は平家一門の栄枯盛衰。作者は不明。『祇園精舎の鐘の声…』と古文で暗誦される。
盲目の琵琶法師が全国を渡り歩いて平家物語を弾き語りしたという。
ウ:明治時代の画家・黒田清輝の作品。
左が『湖畔』、右が『読書』
ヨーロッパ人の誰かが描いていそうだが、印象派の影響を受けた黒田の作品。
当初は法学を志す目的でフランスに留学したが、芸術の道へ傾倒するようになる。
・・女性の作品がやけに多いのは無類の女好きか?
(2)P:立憲政友会、イ 13.5%!(一部正答22.9%)
*P:原敬は伊藤博文が結成した立憲政友会所属。本格的な政党内閣を結成する。
初の政党内閣は第1次大隈内閣(隈板わいはん内閣)であったが、
伯爵の大隈は衆議員選挙に立候補できず、国民から選ばれた立場ではなかった。
その点、爵位を持たない原は衆議員に議席を持つ初めての首相であったことから、
平民宰相(さいしょう=大臣)とよばれる。
イ:難しい。
2年前の埼玉・大問4(3)の解説で少し触れました。
あすなろ学習室より。
1890年-直接国税15円以上の納付、25歳以上の男子(約1%)
1900年-直接国税の納付を10円以上に引き下げ(約2%)
1919年-直接国税の納付を3円以上に引き下げ(約5%)
1925年-普通選挙法の制定により国税納付要件を撤廃。
25歳以上の男子すべてに選挙権が与えられる(約20%)
1945年-戦後、20歳以上の男女へ拡大。女性の選挙権が認められる(50%弱)
2016年-20歳以上から18歳以上に引き下げ。
1890年の前年(1889)、衆議院議員選挙法公布時の首相は黒田清隆。
1900年が第2次山県有朋(やまがたありとも)、1919年が原敬。
1925年が加藤高明、1945年が幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)
wikiより。1920年の第14回衆議院議員選挙における各政党の議席数。
原は納付資格を引き下げたが、それでも国民全体の5%ちょっとしか選挙権がなかった。
また、従来の大選挙区制から小選挙区制に変更している。
ア:満州事変(1931)→満州国建国宣言(1932)→日本の国際連盟脱退(1933)の流れは頻出。
五・一五事件(1932)では満州国の承認に反対していた犬養毅が暗殺され、政党政治が終焉する。
ウ:治安維持法(1925)は加藤高明内閣。普通選挙法と同時に成立(アメとムチ)
エ:誤答でこれが選ばれやすかったと思われる。
第一次護憲運動の始まりは1912年。
議会を無視する第3次桂太郎内閣に対し、立憲国民党の犬養毅や立憲政友会の尾崎行雄らが
憲政擁護(憲法に基づく政治を重視する考え)の主張を展開。
憲政擁護・閥族打破をスローガンに市民がデモを行い、桂内閣は辞職に追い込まれる。
これを大正政変という。
(3)特色―昼間人口が夜間人口より多い。
理由―東京23区からの通勤・通学人口より、東京23区への通勤・通学人口の方が多いため。 41.9%(一部正答42.9%)
*埼玉の記述は思考力うんぬんではなく、見たままを書けばいい。
通勤通学で入ってくる人口が出ていく人口より多いため、東京の昼間人口が多い。
埼玉は郊外のベッドタウン。
昼間は電車に乗って都内に通い、夜間は自宅のある郊外に戻る人が多い。
ちなみに、ベッドタウンは和製英語で、外人が聞くとラブホ街を想像するらしい…。
正しくは、bedroom town(community)かsuburb。
@昼夜間人口比率@
資料問題に出てくる。
〔昼間人口÷夜間人口〕の比率で、1を超えると東京のように昼間人口>夜間人口になる。
1を下回ると夜間人口>昼間人口で、都市部の郊外は比率が小さくなりやすい。
>2015年の全国昼夜間人口比率(e-stat)
一番右の列です。
東京が最も高く、大阪、京都、愛知も高いです。
対して、埼玉や千葉は90%を下回っています。
(4)ア 76.1%
*横浜港がわかりやすい。
X:横浜には日産自動車の本社がある→輸出
Y:石油や液化ガスといった鉱産資源を日本は多く輸入している。
Z:小型軽量の品目でないと航空機で運べない。
航空輸送は輸送費が高いが、ICのように高い付加価値を持つ品目では採算がとれるため、
土地代や人件費の安い地方の空港周辺に半導体の工場が立地するところがある。
地理学では臨空港指向型工業という。
(5)エ 73.3%
*最後に表問題が出題された。
ア:ネットショッピング利用世帯の割合は、世帯主の年齢階級が低いほど高い。×
イ:月平均支出金額が最も高いのは40台。×
ウ:2015年に電子マネー利用世帯の割合が微妙に下がっている。×
エ:保有世帯は2008年が30%弱、2018年が60%で2倍以上。
利用世帯は2008年が20%で、2018年が50%で2倍以上。〇
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