(*解説は大問5(物語文)までしか間に合いませんでした。6・7につきましては後日、完成させます。)
平均47.9点(前年比;+0.2点)
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大問1(リスニング)
(1)エ 37.9%
*選択肢はいずれも「歌おうよ」の歌う主体に着目している。最初の三田のセリフによると、クラスで歌が上手なグループが歌うとあるが、宣伝文句の『おいでよ。聞こうよ。歌おうよ。』は客に対して『歌おうよ』と投げかけているため、歌う主体(歌い手)が店側のグループなのか、客側なのかかみ合っていない。
(2)ア 76.0%
*川辺は「リズムがよくて覚えやすい、語尾がそろっている」と言葉の響きに着目している。
三田は言葉に込めた思い(=言葉が意味する内容)を意識している。
(3)ウ 83.9%
*『おいでよ。聞こうよ。歌おうよ。』は店から客に対する勧誘、
『行きたい。聞きたい。歌いたい。』は客から店に対する要望で立場が異なる。
(4)イ 91.0%
*最後の川辺のセリフ。「食べる」と「歌う」がセットで宣伝文句に入ることで、賑やかな店で食べたい人は来る、静かな店で食べたい人は避ける。客に必要な情報を提供することで、お店選びがしやすいよう配慮できる。
大問2(漢字読み)
(1)招く―まね(く) 98.3%
(2)慎む―つつし(む) 92.1%
(3)曖昧―あいまい 96.4%
(4)辛辣―しんらつ 77.0%
*全問正解したい。
慎む…控える。慎重・謹慎
曖昧模糊…意味は曖昧と同じ。
辛辣…手厳しい。ex.)辛辣な批判
ラー油を漢字で書くと辣油。『辣』は辛いという意味。
大問3(漢字書き)
(1)浅 90.0%
(2)拝 65.2%
(3)批評 69.8%
(4)創刊 28.2%!
(5)序列 57.5%
*(1)日が浅い…まだそれほど日が経っていない。
(2)横線は4本。
(4)創刊…最初に発行された刊行物。創刊号
(5)年功序列…年齢や勤続年数によって賃金が上がること。
終身雇用・新卒一括採用・企業別労働組合とともに日本型雇用システムの特徴の1つ。
大問4(論説文)
(1)イ 43.3%
*国文法。
『広く知られている』
形容詞「広い」が動詞「知る」に連なり、連用形に変わる。
連用形→用言(動詞・形容詞・形容動詞)に連なる。
形容詞…人やものごとの性質・状態を表す。
どのように知られているか→広く知られている。
イ:『楽しい時間を皆で過ごす』
どのような時間か→楽しい時間(形容詞)
名詞「時間」に連なる連体形。
連体形→体言(名詞・代名詞)に連なる形。
ア:『ようやく空が晴れてきた』…副詞の用法(状態・程度・呼応)のうち状態。
ウ:『あふれる清水をくみ出す』…動詞「あふれる」の連体形。名詞「清水」を修飾。
エ:『静かな環境を大切にする』…形容動詞「静かだ」の連体形。名詞「環境」を修飾。
(2)ア 74.0%
*『実際、心理学者たちもこの事実の発見に驚き、戸惑った。〔A〕と彼らも信じていたのである』
この事実とは、意識が行動を決めているという常識や直感に反するもの、すなわち、視線のカスケード現象が示す『無意識な動きよりも後に意識が生じていること』。
【×意識→行動、〇無意識→行動】
これを知った心理学者たちも驚いた。心理学者たちも〔人は意識に基づいて行動する〕常識を信じていた。
(3)①ア②ウ③カ④イ⑤エ⑥オ 72.7%
*傍線部Bの段落から対比がつづく。
システム1…速い思考⇒自動的に高速で働き、努力が不要。
システム2…遅い思考⇒意識的で努力や自制が必要。
次の段落。
システム1…印象、直観、意志、感触といったものを生み、システム2に供給する。
システム2…1が提供した情報、それが生み出す無自覚な行動を監視・制御する。
視線のカスケードの例に適用する。
「オレンジジュースにしよう!」→意識的な判断→システム2
無自覚な眼球の動き→意識に先行する無意識の動作→システム1
(4)Ⅰ:役割を分担 45.9%
*ハイブリットな仕事→異なるものが組み合わさり、動くこと。
傍線部を含む段落は、「たとえば」と例示から始まる。(例示の前後に筆者の主張がよくある)
驚いた直後に注意深く観察したり、悪い食習慣を意識的に改善するのは、システム1とシステム2が役割分担をしているからだと説く。その前の段落では、2つのシステムがどのように連動しているのかについて説明がある。段落冒頭。『システム1とシステム2は役割を分担することで、問題を効率的に解決する』
Ⅱ:意識と非意識の二重プロセス 24.7%!(無答41.9%)
*前問の言い換えを探す。
2つのシステムが出てくる傍線部Bの前に『人は、意識、非意識両方のプロセスを、時と場合に応じて使い分けている』、ダニエル・カーネマンは『意識と非意識の性質やはたらきを二重プロセスと呼んでいる』とある。
傍線部Cまでに別の言い換えはなさそうなので、最終段落にも目を通すと、人は心身のエネルギーを節約するうえでオンとオフの切り替えが求められ、『意識と非意識の二重プロセスは、最も少ない努力ですむ方法を選ぶ「最小努力の法則」に基づいて機能する』とある。
いずれも13字…、どちらに軍配が上がるか。
意識=システム2、非意識=システム1。プロセス(process)は過程、手順、プログラムの処理単位。2つのシステムが二重で同時処理を行うことで心身のエネルギーを効果的に使えるようになる。『両方のプロセス』ではプロセスが2種類あるという指摘にとどまるが、『二重プロセス』では2つのプロセスがマルチタスク(=複数の同時進行)する関係性にまで意味が及ぶ。二重起動をしながら使い分けや役割分担をする。
(5)Ⅰ:システム1 70.1%
*最終段落によると、やる気や意欲といったモチベーションは心身のエネルギーを多大に消費するので、限りのあるエネルギーを節約してモチベーションの効率化を図るためには、非意識的に行動を起こすシステム1が大きな貢献をしているとある。それを踏まえたうえで問題文を読む。
習慣は、意識や努力の感覚なしに特定の行為を遂行できる能力=行為が身体化した状態。
非意識的にこなせるシステム1の稼働である。
Ⅱ:自分が 19.9%!(無答49.3%)
*習慣による自動化とはどのような状態か。
前問で〔習慣=システム1〕とわかったので、システム1に関する記述を探す。
2つのシステムが登場する傍線部Bの先。『システム1とは、速い思考、つまり、自動的に高速ではたらき、努力はまったく不要か、必要であってもわずかで、自分がコントロールしているという感覚が一切ない非意識的な「自動操縦モード」を指す』
「〇〇とは」の言い回しは、〇〇の定義を示す文章に多い。
Ⅲ:例)心身のエネルギーを無駄に消費しない(17字)
4点―6.4%!!、1~3点―5.3%。無答―56.6%
*モチベーションの「効率化」のために習慣を取り入れると、どのようなメリットがあるか。
→モチベーションによって〔 Ⅲ 〕ことにつながる。
やる気や意欲といったモチベーションは心身のエネルギーを消費する。やみくもにやる気を発揮するのはエネルギーの浪費(ムダ)で合理的ではなく、そもそも限界がある。習慣=システム1(非意識的な自動操縦モード)を導入することで、限りある貴重なリソース(資源)である心身のエネルギーの消費を抑えることができる。つまり、モチベーションに必要な心身のエネルギーの浪費を抑制する。
(6)エ 56.2%
*文章の構成を問う。
●前半…急ごうと思ったら身体が走り始めていた事例や、自販機でオレンジジュースを選択する事例(視線のカスケード現象)といった具体例から、常識だと思われていた〔意識→行動〕の順ではなく、意識に先行する非意識的な何かの存在を指摘した。
●後半…『一方、われわれの常識の通り』から始まる段落より、意識(システム2)と非意識(システム1)の性質や関連性、その重要性が述べられている。
イ:意識(システム2)と非意識(システム1)の対比構造はみられるが、
重要なポイントはそれぞれが役割分担をして人々の生活を支えていること。
ウ:2つのシステムに優劣はない。いずれも重要で両輪のように働く。
大問5(物語文)
(1)ア 75.3%
*陽菜はコンクールで入賞した3人との圧倒的な差を目の当たりにして自信を失い、姉の住む奥瀬見でオルガン制作を手伝うことでフルートから逃げていた。フルートを続けるべきだという朋子に対して、「私は、オルガンが向いてると思ってる」と姉に言えなかったことがA『すっと出てきた』→今まで心の中に溜めていた気持ちがふと口に出た。
フルートよりオルガンの方が向いていると長台詞で熱弁し、B『自分でも止められないほどに』言葉がヒートアップする。ヒートアップ=興奮している。心に留めていた気持ちが一気にあふれるように出てきて抑えきれていない。
イ:喜びに満たされていない。負の感情である。×
エ:必死に言葉を探すのではなく、自然と口に出た。×
(2)Ⅰ:例)他者と比較する(7字) 7.0%!!
Ⅱ:例)何になりたいか(7字) 40.0%
*Ⅰが何を書けばいいかわかりづらい。先にⅡから考える。
Ⅱ:問題文の文章は、自分の進路をどう決めるかについて陽菜と朋子の違いを説明している。オルガンビルダー一筋の朋子は気持ちがまっすぐで一貫している。自分に向いているかどうかはどうでもいい。自分にはオルガンしかなかったからオルガンを作っている。父もオルガンが好きだっただけ。気持ちをごまかす陽菜に対して、『陽菜は、本当は何になりたいの?』朋子は”自分は何が好きか、何になりたいか”という視点を重視して進路を決める。
Ⅰ:『陽菜はコンクールに入賞できなかったこともあり、個性がないことを〔 Ⅰ 〕ことによって自覚し、向き不向きを考えて進路を決めようとしている』
対して、陽菜は自分に向いているかどうかで進路を決める。自分の演奏には個性がないから、フルート奏者には向いていない。個性がないことをどうやって自覚したか→入賞者(他者)と自分を比べることではっきりと知った。主体的に決断する朋子との対比で考えると埋めやすくなる。
(3)エ 75.9%
*オルガン制作を言い訳にして現実逃避をしていた陽菜。「フルート奏者になりたいよ。でも、それは私には、無理なんだ」とフルートに未練がある気持ちを吐露する。朋子のように強くまっすぐには生きられない。自信を失って気持ちもブレてしまい、惨めでどうしようもない自分の醜態を晒しても、朋子の目には落胆も怒りもなかった。
ア:悩みどころ。一応、オルガン作りに関心を寄せていたので、将来に対して無気力ではない。
イ:オルガン制作は音楽に関する。音楽から離れられないのはフルートに心残りがあるから。
ウ:むしろ自身の才能の無さを悲観している。
(4)イ 63.5%
*自分はオルガン制作に向いていると思っていた。それなのに芦原さんは、オルガンビルダーになりがたがる人のほとんどは志半ばで潰れる、向いていようがいまいが大半はつぶれる世界だと言い放った。せっかく新しい道を見つけたと思っていたのに出端を挫かれる。陽菜はどうしたら良いのかわからずに当惑した。
ア:「じゃあ、なぜ芦原さんは続けられているのか」と質問を返すことで、自分を否定された怒りの感情をぶつけたと考えられなくもない。しかし、芦原さんは還暦を過ぎたオルガン作りのベテランとして真っ当な意見を言っており、陽菜を否定する意図は見られない。怒りより途方に暮れる気持ちの方が正しい。
エ:奥瀬見で過ごしてきた日々(=オルガン制作)を肯定的にとらえて芦原さんの気を良くするために、「私は、いい影響だったと思ってます」と言ったわけではない。フルートとは別の人生を見出そうとしていた。
(5)(a)Ⅰ:上空を吹く 64.8%
Ⅱ:地上にも降りてきている 15.2%!
* 風の描写を探す。
①『上空を吹く風が、ごうっとひときわ派手な音を立てた』
②『上空を吹き荒れている風が、地上にも降りてきている』
〔 Ⅰ 〕は最初の風を修飾する語句だから、上空を吹く風が答えになる。
〔 Ⅱ 〕は『上空を吹き荒れている風』と『地上にも降りてきている』が11字である…。陽菜と朋子の会話の緊張感がより増す表現はどちらか。①では、地上から遠い上空の風に不穏な様子が見られる。②では吹き荒れると不穏な雰囲気が増し、それが自分たちのいる地上へ降りてきた。直接降りかかったという意味では、『地上にも降りてきている』がベターとなる。
(b)ウ 48.3%
*『私を包み込んでいる』奥瀬見の自然→わずかに『牙を剝いている感じがした』
『包み込む』=保護
陽菜にとって当初の奥瀬見の風景は、自信を喪失してボロボロだった自分を守ってくれる存在だった。
ア:激励は言い過ぎである。
(c)X:例)自分はオルガン制作に向いていると言い訳をすることで、フルートの演奏から逃げている(40字)4点―2.0%!!、1~3点―3.2%、無答―73.9%
Y:例)拒絶 10.6%!(無答50.0%)
*場所の擬人化ゆえ書きにくい。先にYから考える。
陽菜を包み込んでくれた奥瀬見が牙を剥いている。
牙を剥く→攻撃の意志。
自分を守ってくれていると思っていた奥瀬見から攻撃されている気分になった。公式解答では非難とあり、攻撃と書いても間違いにはならなさそうだが、「受け入れない→拒絶」と変換しても問題ないかと思われる。
奥瀬見がどういうことを示したことで、陽菜は拒絶されている気分になったか。
奥瀬見は陽菜がオルガン制作にやりがいを感じ始めた場所。オルガン制作に向いていると思った心理的動機を書けばいい。本当はフルート奏者になりたいが実力不足を突き付けられた。にっちもさっちもいかない中、フルートがうまく行かなかったからオルガンで代用し、オルガンの方が向いていると思い込むことで本心をごまかした。
(*以下は後日、必ず完成させます)
大問6(古典)
(1)あやしゅう 63.5%
(2)ア 19.7%!
(3)4点―12.7%!、1~3点―18.1%、無答―39.7%
(4)(a)9.7%!!(無答43.4%)
(b)ウ 34.3%
(c) 66.9%
大問7(自由作文)
12点―9.6%!!、8~11点―18.3%、4~7点―23.0%、1~3点―13.3%、無答―13.4%
@2023年度・千葉解説@
数学…平均47.0点 社会…平均54.5点 理科…平均60.7点 英語…平均47.6点
思考力を問う問題…数英国の3教科。来年度は千葉・千葉東・東葛飾が対象。
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